5)足底筋膜炎
  

   
足底筋膜炎とは、足底筋膜と呼ばれるかかとの骨の下側と足の指の付け根(母指球)をつ
   ないでいる丈夫なひも状の組織
が炎症を起こした状態をいいます。
   足底筋膜はかかとの骨の下側と母指球をつなぎ、歩いたり走ったりするときに、ばねの役割
   を果たしています。
   筋膜炎という病名は筋膜の「炎症」を意味しますが、この病気は実際には炎症というよりは
   足底筋膜に繰り返し負荷がかかることによって起こります。

   足底筋膜炎は、かかとの痛みを起こす最も一般的な原因です。
   痛みは足底筋膜に沿った部位ならどこにでも起こりますが、最も多いのはかかとの骨と足
   底筋膜がつながっている部分
です。
   腓腹筋やアキレス腱(ふくらはぎの筋肉をかかとの骨に付着させている)が緊張すると足が
   平らになり、筋膜が「弓の弦状」になって痛みを伴います。
   ランナーやダンサーに多く起こり、長時間立ちっぱなしの職業の人にも見られます。
   形の違う靴に変えた時や土踏まずのアーチが高い人、低い人も起こしやすいといえます。

   悪化要因には肥満、関節リウマチ、ライター症候群(反応性関節炎)、乾癬(かんせん)、線維筋痛など
   があります。
   足底筋膜炎を起こすと、じっとしていた後、特に朝起きて足に体重をかけたときにかなりの
   痛みを感じます。
   痛みは歩きはじめた後、一時的に解消します。
   歩いたり走ったりしているときに痛みが起こることもあり、この場合の痛みは、かかとからつ
   ま先に向かって放散します。
   足底筋膜への負荷と痛みを軽減するためには、裸足で歩かないようにし、歩幅を小刻みに
   します。
   ジョギングなど脚に衝撃が加わる動作は避けるべきで、減量が必要な場合もあります。
   腓腹筋のストレッチは、しばしば治癒を早めます。


                      


 6)陥入爪(かんにゅうそう)
  

   爪の縁が周囲の皮膚に食いこんだ状態です。
   変形した足の爪が皮膚に向かって成長したり、爪の周囲の皮膚が異常に早く成長して爪の
   一部を巻きこんだりすると、陥入爪になります。
   足に合わない窮屈な靴をはいていたり、爪を水平に切らずに角を丸くカーブして切ってしま
   う
と陥入爪を引き起こしたり、悪化させます。

   陥入爪の初期は無症状ですが、次第に痛むようになります。
   特に陥入した部分が圧迫されると痛みは激しくなります。
   患部は赤くなり熱感を伴い、感染を起こしやすくなります。
   感染を起こすとその部分が痛み赤く腫れて、膿がたまった水疱ができ(爪周囲炎)、やがて
   破れて中から膿が出てきます。
   軽い陥入爪は切り取ることができ、その時に爪の端をそっと持ち上げて、腫れが引くまで爪
   の下に滅菌した綿を詰めます。
   治療が必要なものは、局所麻酔(リドカインなど)をして、陥入した部分の爪を切って取り除 
   きます。
   これで炎症は治まり、普通は再発もありません。
          



 7)爪真菌症(爪の水虫) 

   爪真菌症は、爪の真菌感染症です。
   公共の場所を素足で歩くと足に真菌が付着しますが、中でも多いのが水虫(足白癬)です。
   高齢者、糖尿病患者、足の血液循環が悪い人は、特にこの真菌感染を起こす傾向があり
   ます。
   軽度の場合ほとんど症状はありませんが、重度になると、爪は白または黄褐色に変色し、
   分厚くなり、爪床(爪の基底部)から離れていきます。
   医師は爪の破片を顕微鏡で調べて診断を確定し、培養してどんな真菌による感染かを確定
   します。
   真菌感染症は、完治が難しい病気です。
   軽度から中等度であれば、シクロピロクスという抗真菌薬をマニキュアのように爪に塗ると、
   薬剤が爪を通って感染を起こしている爪床まで浸透し、
効果があります。
   シクロビクスもそうですが、抗真菌薬を飲み薬として使う方法もあります。




 8)うおのめとたこ 
     
   
うおのめは親指以外の足の指の、特に甲側の関節部に起こりやすい、硬い円錐形の隆起
   です。
   ハンマー足指やその他の足指の変形は、うおのめの原因となります。
   たこは足の裏の皮膚が丸く平らに厚くなったもので、母指球の下に多くできます。
   うおのめとたこは、通常まさつと圧力が原因で、特に自分の足に合っていない、きつい靴を
   はいている
と起こります。
   これは、靴のはき方が悪いために足にかかる体重分散が偏ることで起こります。

   症状には、足全体の焼けるような感覚や、または特定の部分に激しい痛みがあります。
   適切な治療を受けなければ、奥にある組織が炎症を起こし、感染症を引き起こします。
   治療は、通常外科用メスで厚くなった部分を削る他、さまざまな種類のパッド(フェルトや毛
   皮でできた)
をあてて患部への圧迫を減らします。
   矯正器具やインナーを挿入した靴をはくのも有用です。


 

 9)外反母趾(がいはんぼし)
  

   外反母趾の原因は足に合わない靴をはくことですが、家族性に発症する傾向があります。
   女性の靴はファッションを優先して足に合わないことが多いため、女性に多く発症します。

                   

   外反母趾になると、親指の付け根が外側に向けてふくらむため、足の幅が広くなります。
   親指の指先は小指の方を向いてしまい、その結果、親指の付け根が中足骨頭につながる
   部分が足の内側に隆起します。
   このふくらみの下には滑液包があり、滑液包は靴との摩擦で刺激を受けるため、こぶの下
   で腫れて次第に大きくなります。
   このような病態を腱膜瘤(けんまくりゅう)といいます。
   靴との摩擦による腱膜瘤の刺激が持続すると、骨も増殖や滑液包の腫れを増大させ、ます
   ます足の幅が広くなります。

   痛みは、ステロイド薬と局所麻酔薬の混合液を注射して治療します。
   腱膜瘤を保護するパッドをつけたり、患部の圧迫を減らすように調整された靴をはくと痛み
   も軽減します。
   重度の痛みを伴う腱膜瘤や重度の外反母趾は、外科手術で足指の位置を矯正します。




 10)ハンマー足指 
     

   ハンマー足指は、足の指が縮んだ状態で硬直することです。
   ハンマー足指の最も多い原因は、長年にわたって足に合わない靴をはき続けたことです。
   指の一部が正常より高い位置にあると過剰な摩擦を起こし、その部分に潰瘍ができることも
   あります。
   まず試みるのは、つま先を刺激しない足に合った快適な靴を確実に使用することです。
   潰瘍やそれ以外の皮膚の炎症も治療し、足の指が硬直してしまったハンマー足指は、手術
   で真っすぐにしますが、手術が必要なことはまれです。


                  




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