1)足の障害   

   
足の障害には、けがなどによって足自体から始まるものと、糖尿病など体のいろいろな部位
   に影響を及ぼす病気によるものがあります。

   障害は足の骨、関節、筋肉、(けん)靱帯(じんたい)に起こります。
   足の骨折はかなり多く見られます。
   足の爪の変色は、真菌感染症など特定の病気で起こることもあるため、常に注意を払うべき
   です。
   偏平足(へんぺいそく)や親指が長い人、内股の人は、親指の付け根に慢性的な関節炎が起こる
   強直母趾(きょうちょくぼし)を起こしやすいと考えられています。

   立ったり歩いたりして足の縦のアーチが低くなると、足が内側を向いてしまいます。

   このような足のずれは、回内と呼ばれます。
   回内によってしばしば親指の関節の負荷が増えるため、痛みや変形性関節症を発症したり、
   関節の運動が制限されることがあります。


   親指の外傷によっても、痛みを伴う関節炎を起こすことがあります。
   親指の関節痛は足に合わない靴や柔らかすぎる靴をはくことで悪化し、動かすと痛みます。
   
次第に歩くときに親指が曲げられなくなりますが、触れても熱感はありません。
   痛風も同じ部位に激しい痛みを生じますが、痛風の場合は親指の付け根に触れると熱感
   あります。

   不適切な足の動きを矯正するために矯正装具で靴を調節すると、親指の関節の負荷が軽減
   し、
これが主な治療法となります。
   親指の痛みが出現してすぐであれば、足の指をけん引したり機能訓練を行って関節を動かす
   と痛みが和らぎます。

   局所麻酔薬を患部に注射すると痛みが軽減し、筋けいれんも起こらなくなり、関節が動かし
   やすくなります。




 2)加齢の変化
  

   加齢に伴い、足には大きな変化が現れます。
   足の体毛は少なくなり、皮膚は所々が茶色に変色(色素沈着)し、乾燥します
   足の爪は厚くなって曲がってきたり、真菌感染症が多く見られるようになります。
   足は靱帯や関節の変化により、実際に幅広甲高になります。

   このような変化が見られた人は、大きめの靴をはく必要が出てくる場合もあります。
   高齢者では、足に合わない靴を長くはき続けていたことによるトラブルも少なくありません。




 3)踵骨棘(しょうこつきょく)の痛み 

   踵骨棘(しょうこつきょく)とは、かかとの骨の異常な増殖で、かかとの骨が腱や骨に付着している結合組織
   (筋膜)に過剰に引っぱられた結果です。
   かかとの裏側の骨から足指の根元まで伸びている結合組織の足底筋膜が、かかとの方
   に過度に引っ張られると骨棘が形成されます。

   踵骨棘はよくみられますが、痛みは起こしません。
   ただし、
隣接する組織が炎症を起こすと痛みが生じ、足底踵痛症候群とも呼ばれます。
   最初の症状は、起床後歩きはじめるときに痛みに気づくのが典型的です。
   この痛みは長い間座っていた後、歩きはじめたときにも生じます。

                  


   踵骨棘の痛みは、かかとの裏の土踏まずが始まるところを押すと生じます。
   また、かかとの中心部を押したときに痛みがあれば、滑液包も炎症を起こしていることを意味
   しますので、
治療は痛みの軽減が目的となります。
   まずは、足や土踏まずの部分にパッドを詰めたり、テーピングや矯正用具を使用してかかと
   を安定させます。

   そうすれば、筋膜の伸びが最小限になり、痛みを軽減することができます。
   また、ふくらはぎのストレッチやアイスマッサージも効果的で、ほとんどの痛みは手術をしなく
   ても治療できます。




 4)足首のねんざ 
     
   ねんざは、足首の靭帯(骨と骨をつないでいる丈夫な弾性組織)が傷ついた状態です。
   足首を外側にひねったときに、外側の靭帯が断裂して起こります。
   足首のどの靭帯にも、損傷は起こり得ます。

   通常は足首が外側に回転して、足の裏が内側を向いてしまったときに起こります。
   この種のけがは、平らでない地面を歩いたり、石を踏んでしまったり、歩道の縁石を踏み外
   したとき
などによく起こります。
   足首の靭帯がゆるんで弱くなっている場合、脚の筋肉の神経が損傷している場合、かかと
   にスパイクのついた靴などを履いている場合、足の指が内側を向くような歩き方によっても
   足首がねんざしやすくなります。

   土踏まずのアーチが高いなど足の形に特徴がある人も、ねんざしやすい傾向があります。

   ねんざの重症度は、靭帯の伸びや断裂の程度によって異なります。
   軽度であれば、靭帯は伸びても断裂はしません。
   痛みや腫れもさほどありませんが、軽度のねんざは再発するリスクを増やします。

   中等度のねんざでは、靭帯が部分的に断裂しています。
   顕著な腫れと打ち身があり、通常は痛みのために歩けなくなります。
   重度では靭帯が完全に切れて、ひどい腫れや皮下出血がみられる場合もあります。
   足首は不安定となり、体重をかけることができません。

   治療は、ねんざの重症度によって異なります。

   軽度であれば、足首と足を弾性包帯やテープで固定し、氷のうを患部にあてて冷やし、心
   臓よりも足が高い位置を保つようにします。

   ねんざが治ってきたら、徐々に歩行や運動を行います。 
   治療はRICE、すなわち安静(Rest)、冷却(Ice)、圧迫(Compression)、挙上(Elevation
   いう4
つの原則からなっています。

   中等度であれば、歩行用のギプスや着脱可能な装具のキャストブーツで3週間ほど固定し
   ますが、重度のねんざは直ちに治療を受けなければなりません。

   そのまま放置しておくと、長期にわたって足首が不安定になり痛みが残り、変形性関節症
   を起こします。


                  




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