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平成20年度 保健医療サービス分野(基礎) 正解と解説
問題1 | 正解 1・5 |
○1 | 脱水の原因としては、摂食不良や下痢・発熱のほか、高血糖や利尿剤服用、胸水や腹水、消化管出血、痰が増え吸痰で水分を失うことなどがあります。 |
×2 | 廃用症候群の予防のためには、症状に合わせたリハビリテーションを継続できる環境づくりが必要とされています。 様々な原因によって生じるため、麻痺を想定して「利き手の運動を増強することが必要である」と言及するのは誤りです。 |
×3 | トイレまでの歩行に介助が必要な高齢者の場合には、排泄動作がスムーズに行えるよう居室をトイレ近くに移動したり、ポータブルトイレの設置など環境を整えることが重要です。 |
×4 | 例えば胃ろうの場合、少量なら経口摂取が可能な方の場合は並行してこれを行います。 「経口から食事を摂取してはならない」と決められているわけではありません。 |
○5 | 高齢者のてんかんの原因は、主に脳血管障害か頭部外傷の後遺症で、薬物による治療を行います。 |
問題2 | 正解 2・3 |
×1 | 狭心症には労作性狭心症と異型性狭心症があり、診断は運動負荷心電図や冠動脈造影で行います。 どちらも発作が起きてない時は心電図で異常を認めないことが多く、詳細な問診が必要です。 |
○2 | 続発性骨粗鬆症の原因は、甲状腺機能亢進症やクッシング症候群などの内分泌疾患、胃の切除後、ステロイド性薬剤投与後のものがあります。 |
○3 | 筋萎縮性側索硬化症(ALS)では、眼球運動や肛門括約筋、知能や意識は末期までよく保たれます。 |
×4 | CRP(C反応性蛋白)は炎症を反映し、感染症や膠原病、さらには悪性腫瘍の可能性を反映する検査であり、数値は上昇傾向となります。 |
×5 | 総蛋白質はアルブミンとグロブリンからなり、高齢者の栄養評価に最もよい指標はアルブミンです。 |
問題3 | 正解 1・3・5 |
○1 | 血糖コントロール不良による高血糖の昏睡があります。 |
×2 | 気管切開を行い気管カニューレを使用すると、カニューレから空気がもれるため発声ができなくなります。 ただし、スピーキングバルブという器具を用いることで発声が可能となります。 |
○3 | 体重増加は浮腫性疾患(心不全、ネフローゼ、肝硬変)などを把握する上で有効です。 |
×4 | 糖尿病の3大合併症は、網膜症、腎症、神経症です。 |
○5 | 腎不全の栄養指導としては、@ナトリウムの制限、A蛋白質摂取の調節、Bエネルギーの十分な摂取、C水分の調節、Dカリウム制限などが行われます。 |
問題4 | 正解 3・4・5 |
×1 | 抗不安薬の副作用としては眠気・ふらつきなどが知られており、血圧は低下します。 |
×2 | 降圧剤、催眠鎮静薬、抗不安薬、抗てんかん薬などには、口腔乾燥の副作用があります。 |
○3 | その他、副作用として眠気が出る薬剤には、催眠鎮静薬・抗不安薬・抗うつ薬・抗精神病薬、筋弛緩薬などがあります。 |
○4 | その他、副作用として口渇が出る薬剤には、抗不整脈薬・抗不安薬・抗うつ薬・利尿剤などがあります。 |
○5 | 消炎鎮痛薬による胃潰瘍では、胃痛・吐き気・上腹部不快感・食欲不振などの症状を伴います。 |
問題5 | 正解 2・5 |
×1 | 血糖のコントロールは難しく、家族の負担は大きく、食事摂取量によっては高血糖になり、インスリンが相対的に多ければ低血糖となる可能性があります。 |
○2 | 尿路感染症の緊急検査としては血液検査が行われ、白血球数やCRPを調べます。 |
×3 | 在宅酸素療法により慢性呼吸器不全の高齢者の予後が改善され外出も可能となりましたが、疾病そのものが治癒するというものではありません。 |
×4 | 人工呼吸器装着患者であっても、電動車いすに呼吸器を積み、改造された自動車に乗って地域に出て活動し、社会的役割を十分に果たせる可能性もあります。 |
○5 | がんの疼痛管理にあたっては、本人、家族、医師、看護師等が十分に話し合いをした上で、本人の状況やニーズに応じた治療法が選択され、その効果を評価します。 |
問題6 | 正解 2・3・4 |
×1 | 情動失禁は、血管性認知症に見られる症状です。 |
○2 | 認知症は、臨床症状とCTスキャン、MRI(核磁気共鳴画像)などによる脳萎縮の存在などを元に診断されます。 |
○3 | 認知症発症の二次的要因には、加齢による聴力・視力の低下等の感覚器の機能低下、入院や転居、退職などの環境の変化や家族との離死別などがあげられています。 |
○4 | 高齢者や家族の希望や意見をくみ取り、また、認知症高齢者の潜在能力を引き出すための視点を常に持つことが重要です。 |
×5 | 脳血管性疾患をもとに広範囲に脳組織が障害を受けることによって発生する認知症は、血管性認知症です。 アルツハイマー病の原因は不明であり、生活習慣病の対策が必須とはされていません。 |
問題7 | 正解 1・2・5 |
○1 | モルヒネの使用には吐き気や嘔吐・便秘などの副作用があり、その対策を十分講じることが疼痛緩和の成功の鍵といえます。 |
○2 | 在宅での症状緩和が難しい場合には、在宅ケアに固執することなく、一時的に入院することも検討します。 |
×3 | 末期がん患者の「痛み」は、身体的要因・精神的要因・社会的要因などを含んだ全人的痛みとしてとらえられています。 |
×4 | 死が間近に迫り本人の意識が低下し始めた場合であっても、患者は家族の声を最後の最後までわかっており、たとえ反応がなくても、語りかけ心を通わせて最期のときを過ごすことが大切です。 |
○5 | 在宅における家族への死の教育の目標は、家族の不安や戸惑いを解消しながら家族の持つ力を引き出しつつ、同伴者として最期まで安心して傍に寄り添うことを可能にすることです。 |
問題8 | 正解 2・4・5 |
×1 | 国際生活機能分類(ICF)における「生活機能」とは、人が生きることの3つのレベルである@心身機能・身体構造、A活動、B参加のすべてを含む言葉です。 |
○2 | 指定居宅サービス等の事業の人員、設備および運営に関する基準第105条の13第1項参照。 |
×3 | 経管栄養を行っている場合や歯がない場合は唾液分泌量が減少するため、咀嚼による自浄作用が低下し口腔内が汚れやすくなるので、口腔ケアがより必要となります。 |
○4 | 入浴の援助のポイントの1つとして、冬期などには居室や脱衣所や浴室の温度を少し高くしておく必要があります。 |
○5 | 閉じこもりやうつの恐れがある場合には、地域のサークル活動などインフォーマルなサービスが重要な役割を果たすことがあります。 |
問題9 | 正解 1・2 |
○1 | 人工透析には大きく分けて血液透析と腹膜透析があります。 血液透析の場合、水分量の適正な摂取、ならびに定期的に透析センターに行き週3回程度の血液透析が必要です。 これに対して腹膜透析は、月1〜2回の管理以外には病院に通う必要がなく社会復帰も容易です。 |
○2 | カニューレの交換は週1回程度、痰の付着状態を見て適宜医師に行ってもらいます。 |
×3 | アラームを解除することにより、機器のトラブル等を確認できなくなることの方が不安です。 人工呼吸器は生命維持装置であり、少しのトラブルであっても命にかかわることを意識して管理を行わなくてはなりません。 |
×4 | 胃ろうの管が突然抜けた際には、すぐ代用の管を入れないと閉鎖してしまうことがあります。 |
×5 | 在宅中心静脈栄養を行っている場合のポートの針交換は週に1〜2回行うものであり、その都度入院して行うものではありません。 |
問題10 | 正解 2・3 |
×1 | 失禁は排泄状態をアセスメントして原因や背景を把握し、その上で適切な介護方法を選択することが大切であり、すべて医療的治療を要するものではありません。 |
○2 | トイレまでの歩行に介助が必要な高齢者の場合には、排泄動作がスムーズに行えるよう居室をトイレ近くに移動することや、ポータブルトイレの設置など環境を整えることが重要です。 |
○3 | 尿意がはっきりしていない場合には、排尿チェック表などから本人の排泄間隔を把握し、昼間に集中して排尿誘導(トイレ誘導)を行います。 夜間の誘導は、昼間の排尿が自立してから行います。 |
×4 | 脱水の原因としては、摂食不良や下痢・発熱のほか、高血糖や利尿剤服用、胸水や腹水、消化管出血、痰が増え吸痰で水分を失うことなどがあります。 |
×5 | 認知症高齢者は、尿意がない時にトイレに誘導されると抵抗し、興奮や不穏に至ることがあります。 したがって、認知症高齢者には時間を決めた画一的な誘導は好ましくありません。 |
問題11 | 正解 1・3・5 |
○1 | 寝たきりになったりオムツを着用している高齢者、失禁がある高齢者などは陰部が汚れやすく、清潔が保持されないと褥瘡や皮膚炎・尿路感染症などの原因となるため、清拭や洗浄などによる清潔保持を心がけます。 |
×2 | 義歯は汚れやすいので、取り外しができる場合には少なくとも1日1回は歯ブラシを使って流水で丁寧に磨きます。 熱湯は、義歯が変形する恐れがあるので使用しません。 |
○3 | 感染症の予防には、手洗いの励行が推奨されます。 |
×4 | 膀胱洗浄の回数は、症状や状態等によります。 |
○5 | 一般に高齢になると皮膚表面の皮脂が減少するために、カサカサした皮膚になります。 通常、空気が乾燥する冬に下腿や背部の皮膚が乾燥し、かゆみが出現します。 さらに皮脂欠乏性湿疹が生じることもあります。 |
問題12 | 正解 2・5 |
×1 | 指定介護予防サービス等の人員、設備および運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準(以下「基準」と省略)第76条第1項第11号において、介護予防訪問看護報告書の主治医への提出が義務づけられています。 |
○2 | 基準第127条第1項参照。 |
×3 | 訪問看護ステーションに理学療法士・作業療法士または言語聴覚士を配置している場合であっても、その訪問サービスは訪問看護に分類され、訪問看護費を請求します。 |
×4 | 医師の意見については、介護予防サービス計画に介護予防訪問看護、介護予防通所リハビリテーション等の医療系サービスを位置づける場合において、医師の指示を必要とします。 したがって、それ以外は主治医の意見の聴取は必須ではありません。 |
○5 | 基準第95条第1項第4号〜第6号に規定されています。 |
問題13 | 正解 1・2・3 |
○1 | 一般に高齢者は筋力・敏捷性・平衡感覚が低下して骨折が起こりやすくなるのですが、認知症高齢者は自分の心身機能を正確に判断することが困難となるため、一般の高齢者よりもさらに転倒や転落の危険性が高くなります。 |
○2 | 高齢女性は骨粗鬆症になりやすく、少しの力で骨折し、脊椎の圧迫骨折や大腿骨頸部骨折を起こしやすいです。 |
○3 | こうした転倒の原因となり得る危険因子の除去に努めることが重要です。 |
×4 | 設問にある「ピッププロテクター」は、大腿骨頸部を中心とした骨折を予防するために股関節を保護し、骨折リスクを軽減するため開発されました。 |
×5 | 単に手すりを設置するだけで、骨折を予防できるというものではありません。 |
問題14 | 正解 2・4・5 |
×1 | 高齢者は消化吸収能が低下しているので低栄養状態に陥りやすく、また心身状態の変化に伴い食事量が減少することによっても起こります。 |
○2 | その他、脱水の予防のためには、@暑い日はこまめに水分を摂る、A居室の気温が高くなりすぎないよう注意する、B飲食量が低下したり下痢や発熱を生じている場合は早めに医療的対応が受けられるよう手配する、C脱水を早期に発見できるよう普段から飲食量や体重・尿量に注意しておく、などが挙げられます。 |
×3 | 血清アルブミンの低下は、貧血ではなく低栄養状態を示します。 貧血は、赤血球やヘモグロビンが不足することによって体内に運ばれる酸素量が不足する状態です。 |
○4 | 栄養・食生活アセスメントに必要な情報は、@身体計測、A生理・生化学検査、B臨床診査、C食事調査です。 |
○5 | BMIが25以上である場合に肥満と判断されます。 また、BMIが18.5以下の場合、または通常時の体重に比べ減少率が6ヶ月に5%以上の場合はエネルギー欠乏症と判断されます。 |
問題15 | 正解 2・3・5 |
×1 | 指定通所リハビリテーション事業者は、病院、診療所、介護老人保健施設に限られます。 |
○2 | 個別リハビリテーションとしては、身体機能障害、認知・言語機能を含む高次脳機能障害に応じて理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などがリハビリテーションを提供します。 集団リハビリテーションとしては、体操等を通じて身体的活動性の改善を図るものや、楽しみながら活動への動機付けや仲間意識をもたらすゲームなどのレクリエーション・創作活動等があります。 |
○3 | 通所リハビリテーションの目的としては、@心身機能の維持・回復、A認知症症状の軽減等、BADLの維持・回復、CIADLの維持・回復、Dコミュニケーション能力、社会関係能力の維持・回復などがあります。 |
×4 | 通所リハビリテーション実施計画は、医師の指示のもと、各職種が共同して作成します。 |
○5 | 通所リハビリテーションの実施にあたっては、実施状況およびその評価を診療記録に記載しなければなりません。 |