介護福祉士 第22回 形態別介護技術 解説


[問題1] 解答2

慢性肝炎は、肝臓に肝炎ウイルスが感染し持続的に炎症が続いた状態であり、脱水が原因となって生じるものではない。

正しい。
脱水が原因となって生じる疾患の1つとして、尿路感染症がある。

逆流性食道炎は、胃酸が逆流したことによって食道粘膜に炎症を生じるものであり、脱水が原因となって生じるものではない。

前立腺肥大症は、加齢に関係が深い疾患であり、脱水が原因となって生じるものではない。

脳出血は、高血圧などが原因となって生じるものであり、脱水が原因となって生じるものではない。



[問題2] 解答5

寝たきり高齢者に起こりやすい状態には、筋力低下、関節の拘縮、褥瘡、便秘、尿失禁などがあるが、血圧の上昇はみられない。

体温は一般的に加齢に伴って低下する傾向にあり、これは寝たきり高齢者についても同様である。
そのため体温上昇はみられない。

寝たきり高齢者の場合、骨密度の低下がみられ、骨粗鬆症を生じやすい。

寝たきり高齢者の場合、食欲の低下がみられる。

正しい。
寝たきり高齢者に生じやすい精神症状の1つに抑うつがある。



[問題3] 解答4

寝たきりの合併症として関節拘縮があり、その予防としては、関節可動域訓練などのリハビリテーションの早期の実施などがある。

寝たきりの合併症としてみられる排尿障害の1つとして多残尿状態があり、その予防としては、水分摂取量の確保や運動療法などがある。

寝たきりの合併症として精神機能の低下があり、その予防として、生活の活性化や運動療法などがある。

正しい。寝たきりの合併症として起立性低血圧があり、その予防としては、座位の訓練やチルトテーブル訓練などのリハビリテーションの実施がある。

寝たきりの合併症として便秘があり、その予防としては、水分摂取量の確保や食物繊維を多く含む食品の摂取(栄養管理)などがある。



[問題4] 解答3

認知症高齢者に対して後ろから声をかけた場合、驚いて興奮するなどの悪影響を与えるおそれがある。
援助者は、認知症高齢者の視界に入る位置から声をかけることが大切である。

認知症高齢者にとって思い入れのある物や使い慣れた物を近くに置いておくことで、精神的な安定が図れるなどの効果がある。
そのため、家族にそれらの物を持って帰ってもらうことは不適切である。

正しい。
食事の準備などを手伝おうとする認知症高齢者に対しては、感謝を伝え、一緒に行うことが大切である。

何度も同じことを聞く認知症高齢者に対して、その都度、共感的な理解を示し、受容的態度で接することが適切である。

認知症高齢者に対しては、非審判的な態度で接する必要がある。



[問題5] 解答1

正しい。
糖尿病性網膜症は糖尿病の三大合併症の1つであり、失明する場合も多く、症状として視力低下や網膜出血、硝子体出血などがある。

緑内障の症状として、眼圧上昇がみられる特徴がある。
なお、網膜視細胞変性は、網膜色素変性症の特徴である。

白内障は、水晶体が白濁する特徴がある。
なお、眼圧上昇は、緑内障の特徴である。

網膜色素変性症、網膜視細胞変性や視野狭窄などの症状がみられる特徴がある。
なお、ぶどう膜炎は、ベーチェット病の特徴である。

ベーチェット病は、口腔粘膜のアフタ性潰瘍、外陰部潰瘍、皮膚症状、眼症状がみられる特徴があり、眼症状としてぶどう膜炎がみられる。
なお、水晶体白濁は、白内障の特徴である。



[問題6] 解答3

外耳は、音を集めるなどの役割がある。

鼓膜は、音を振動させる役割がある。

正しい。
中耳は、気圧調整や音を内耳に伝えるなどの役割がある。

鼓室は、中耳の主要部分であり、気圧調整や音を内耳に伝えるなどの役割がある。

内耳は、音を電気信号に変換するなどの役割がある。



[問題7] 解答5

筆談は、一般的に、微妙なニュアンスを伝えることは可能であるが、他のコミュニケーション方法に比べて時間がかかる特徴がある。

補聴器を初めて装着した場合、一般的に、音に響きやこもりが装着前と異なるため、違和感を生じやすい。

高齢になってからの中途失聴者は、手話や指文字を習得していない場合がある。
そのため、高齢になってからの中途失聴者へのコミュニケーションとして、手話や指文字は適しているとはいえない。

人工内耳は、失聴や先天性難聴などに有効であり、残存聴力のある場合には用いない。

正しい。



[問題8] 解答1

腰髄損傷のある人の場合、腰よりも下部に褥瘡が生じやすくなる。
そのため、肩甲骨(胸郭背面の上外側部分)は、腰髄損傷のある人の褥瘡好発部位にはならない。

正しい。

正しい。

正しい。

正しい。



[問題9] 解答4

腎臓機能障害で血液透析療法を行っている利用者の場合、1週間の透析回数にもよるが、おおむね3〜8g/日が目安となる。

基本的に透析した日には入浴を控えた方がよく、透析のない日には入浴することが可能である。

腎臓機能障害で血液透析療法を行っている利用者の場合、食事摂取の留意点の1つとして、カリウムやリンを多く含む食品の摂取を制限する必要がある。
そのため、カリウムを多く含む生野菜を摂取するように説明することは不適切である。

正しい。
腎臓機能障害で血液透析療法を行っている利用者の場合、水分摂取量は制限されるため、医師の指示を守るように説明することは適切である。

腎臓機能障害で血液透析療法を行っている利用者の場合、外出することは可能であるため、外出を避けるように説明することは不適切である。



[問題10] 解答5

精神障害者への生活支援として、精神障害者同士の交流などを図るように勧めることが適切な対応である。

精神障害者への生活支援では、できる限り本人の希望に沿ったライフスタイルの実現を図ることが大切である。
そのため、一人暮らしを避けるように助言することは不適切である。

精神障害者の支援においても、利用者本位を徹底する必要がある。
そのため、できる限り精神障害者本人が決定できるように支援する必要がある。

薬の量や服薬回数については、医師の指示どおりに服用するように助言する必要がある。

正しい。
援助者は精神障害者の幻聴や幻視による発言について、本人の事実としてとらえ、受容的な態度で接する必要がある。



[問題11] 解答3

スリッパは転倒の要因となる。

玄関マットは転倒の要因となる。

正しい。
段差に目印をつけることにより、段差に注意がいくため、転倒予防につながる。

目の粗いじゅうたんや滑りやすい床は転倒の要因となる。

夜間のトイレにおいて、足下灯や間接照明などの一定の明るさを保持することは転倒予防につながる。
そのため、一概に照明を明るくする必要はない。



[問題12] 解答4

誤り。

誤り。
液状便〜粥状便がみられるのは、上行結腸ストマである。

誤り。
粥状便〜軟便がみられるのは、横行結腸ストマである。

正しい。
下行結腸ストマの通常の便の状態は、軟便〜固形弁である。

誤り。



[問題13] 解答3

適切である。
ヨーグルトには整腸作用がある。

適切である。
Hさんの栄養状態に配慮し、栄養不足に注意することは適切な対応である。

不適切。
ストマ周辺の皮膚にびらんがみられる場合には、通常、貼付する皮膚保護剤ではなく、パウダー状の皮膚保護剤などが用いられる。

適切である。
Hさんに心身状態の変化がみられるため、主治医に報告することは適切な対応である。

適切である。
Hさんは入浴しなくなった状況にあるため、入浴を勧めることは適切な対応である。



[問題14] 解答2

適切である。
Hさんの場合、自発的に排便や排ガスをコントロールできないため、事前に外出先のトイレの位置を確認し、外出時に定期的にトイレに行くことで、排泄処理(パウチの交換)や予備の下着を履き替えることなどが行える。

不適切。
食事制限を行う必要はない。

適切である。
Hさんは自発的に排便をコントロールできないため、外出時にはパウチの交換を行う必要がある。

適切である。
Hさんは排ガスを自発的にコントロールできないとともに、周囲の目を気にしていることから、消臭剤を持参することで心理的な負担の軽減を図ることができる。

適切である。
Hさんは周囲の目を気にしているとともに、外出時に情けないと感じることがあるため、排泄処理(パウチの交換)の失敗などにもすぐ対応できるよう予備の下着を持参することで、心理的な負担の軽減を図ることができる。



[問題15] 解答4

Jさんは高次脳機能障害の症状である記憶障害や注意障害により、車いすのブレーキをかけ忘れる恐れがある。

Jさんは高次脳機能障害の症状である半空間無視により、車いすで移動中に左側の物にぶつかりやすくなる恐れがある。

Jさんは高次脳機能障害の症状である記憶障害や障害地誌的障害により、施設内で迷子になる恐れがある。

正しい。
重度の片麻痺があるJさんの状態を考えると、左手で本のページをめくることはできない。

Jさんは高次脳機能障害の症状である失行により、衣服を裏返しに着てしまう恐れがある。



[問題16] 解答3

立位動作の支援を訓練時に限定することは、生活意欲の低下につながるだけでなく、転倒の予防にはつながらない不適切な対応である。
この場合、立ちたいというJさんの意志を尊重することが大切であり、日々の生活の中でも立位動作の支援を行う必要がある。

車いすにY字帯をつけることは、行動制限につながる不適切な対応である。

正しい。
車いすの離床センサーを設置することで、Jさんが立位動作を自分で行う際にすぐ介護従事者が察知でき、転倒の予防につながる。

日々の散歩の付き添いは、家族だけでなく介護従事者も行う必要がある。

車いすの使用時間を限定することは、Jさんの活動量の低下につながるため、不適切な対応である。



[問題17] 解答1

不適切。
Jさんの家族が抱える不安に対して、何らかの対応を図らずにただ励ますことは、問題の解決にならないだけでなく、家族に対して精神的な圧迫・負担をかける不適切な対応である。

適切である。
この場合、事故が起こらないように対応する必要があるが、事前にどんな事故が起こるかを想定し、仮に事故が起こった際にどのように対応するかを相談・検討しておくことが大切である。

適切である。
学校まで効率的かつ安全に行けるよう、車いす対応の車で行くよう勧めることは適切である。

適切である。
Jさんの家族の不安の解消や事故防止を図るため、事前に移動介助や排泄介助の方法を指導しておくことは適切な対応である。

適切である。
Jさんの家族の不安の解消や事故防止を図るため、事前に会場の環境・設備を確認し、その会場に合わせた介助の方法を指導することは適切な対応である。



[問題18] 解答3

適切である。
慢性閉塞性肺疾患であるKさんに対して、呼吸に負担が生じないようにゆっくりと食事摂取を行うことが大切である。

適切である。
水分摂取は、痰を排出しやすくする効果がある。

不適切。
Kさんに対しては、高カロリー、高ビタミン、高タンパク質の食事を提供することが適切である。

適切である。
1回の食事量を減らして食事回数を増やすことによって、食事摂取量の確保を図ることが大切である。

適切である。
Kさんは食欲がなく食事を摂取しない状況にあり、1日の食事摂取量が不足していると考えられるため、食事摂取量の確保に向けて間食をとるなどの対応を図る必要がある。



[問題19] 解答4

適切である。
Kさんの通院介助において、途中で休憩する場合もあることなどを考慮に入れ、無理のないペースで通院できるよう、余裕をもったスケジュールを立てる必要がある。

適切である。
移動にかかる酸素量を把握した上で、通院のために外出する際には、必ず携帯用酸素ボンベの残量を確認する必要がある。

適切である。
Kさんに呼吸困難や疲労などの心身状態の変化がみられた場合には、休憩を行うように促すなどの対応を図る必要がある。

不適切。
Kさんに呼吸リハビリテーションを行うことは有効であるが、肺機能の改善を目的とする肺機能訓練を実施しても効果は得られない。
また、肺機能訓練のリハビリテーションは、訪問介護員が行うものではない。

適切である。
Kさんが感染症にかかることは症状の悪化につながるため、うがいや手洗いを励行して感染症予防を図る必要がある。



[問題20] 解答2

不適切。
長湯を実施することは、血圧の上昇や疲労につながる。

適切である。
唇が紫色になった場合など、Kさんの心身状態に変化がみられる際は、入浴を行わないことが大切である。

不適切。
家族が行う介助であっても、自分でできる動作はできる限り自分で行ってもらうという残存能力を活用した方法で実施する必要がある。

不適切。
首まで湯につかることは、呼吸や心臓などに大きな負担がかかるため、半身浴や寝湯などを実施する必要がある。


不適切。
Kさんにとって急激な温度変化は心臓や呼吸への負担につながるため、保湿を図った上で十分に静養する対応をとる必要がある。