1)睡眠障害について考えよう
みなさんは最近、眠れていますか? あるいは日中眠たくなりますか?今回は、不眠や過眠の総称である睡眠障害がテーマです。
精神・神経科学振興財団は、日本睡眠学会と協力し、毎年3月18日と9月3日を睡眠の日と制定しています。前後一週間は睡眠健康週間となっています。
いよいよ春が近づいています。
春は、「春眠暁を覚えず(春の夜は心地よいので、朝になったことにも気づかず眠り込んでしまう)」という故事があるように、眠気のおこりやすい季節といわれています。
近年では、花粉症の影響で、睡眠中の鼻づまり、くしゃみ、薬の副作用による日中の眠気でお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
花粉症の患者数は、約2000万人。5人に1人が花粉症で悩まされていることになります。
春到来のこの機会にご自身の睡眠について考えてみませんか。
2)睡眠障害とは睡眠に何らかの問題がある状態である
眠れなくなることはよくみられますが、眠れないことイコール不眠症ではありません。不眠の原因は、環境や生活習慣によるもの、精神的・身体的な病気から来るもの、薬によって引き起こされるものなど、様々です。
日本では、一般成人のうち約21%が不眠に悩んでおり、約15%が日中の眠気を自覚しているとの調査結果があります。こうしてみると、成人の5人に1人、つまり1500万~2000万人の人が不眠に悩んでいると推計されます。背景には、人口の高齢化、ライフスタイルの多様化、24時間社会における生活リズムの乱れ、ストレスなどがあるといわれています。
ちなみに、睡眠改善委員会では、2月3日と毎月23日は「不眠の日」となっています。
さらに、睡眠障害には不眠だけでなく、昼間眠くてしかたがないという状態や、睡眠中に起きてくる病的な運動や行動、睡眠のリズムが乱れて戻せない状態など、多くの病気が含まれます。
また、睡眠の問題は1つの原因や病気だけでなく、いくつかの要因が重なって起こってくることも多くみられます。 睡眠の何が問題なのか、その原因は何か、主観的症状と客観的情報を多面的に検討・整理することが、適切な診断と治療につながります。
それらについて詳しくみていきましょう。
3)睡眠障害のサインや症状をチェックしよう
睡眠障害のサインや症状は大きく分けて4つです。(1) 不眠
(2) 日中の過剰な眠気
(3) 睡眠中に起こる異常行動や異常知覚・異常運動
(4) 睡眠・覚醒リズムの問題
また、いびきや寝ぼけなど、周囲の人から指摘される症状もあります。
サインや症状を、自分で困っているものと人から指摘されるものの両面から把握し、疑われる疾患について専門医にきちんと判断してもらいましょう。
表 睡眠障害のチェック(引用:厚生労働省HP「睡眠障害」を一部変更)
自覚できる症状(主観的症状) | 人から指摘されること(客観的情報) |
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✔ 不眠(寝つきの悪さ、途中で起きてしまい再入眠できない、朝早く起きてしまう、熟睡できない) → 精神疾患や身体疾患、服用薬、睡眠障害をチェック 。そのうえで不眠症かどうか判断 。 |
✔ いびき・無呼吸(いびき、眠っているときに息が止まる、突然息が詰まったようにいびきが途切れる) → 体重、飲酒、服用薬をチェック。 睡眠時無呼吸症候群を調べる。 |
✔ 過眠(日中眠くてしかたない、居眠りをして注意をされる) → 睡眠不足や睡眠の質が低下する病気がないか、チェック。もし、夜十分眠っているのに日中眠い場合は、過眠症を調べる。 |
✔ 睡眠中の異常行動(寝ぼけ行動、寝言、睡眠中の大声・叫び声) → 夢との関連性、起こして覚醒するかどうか、チェック。睡眠時随伴症を調べる。 |
✔ 就寝時の異常感覚(脚がむずむずしたり火照ったり、脚をじっとさせていられないためによく眠れない、夕方以降に悪化) → むずむず脚症候群を調べる。 |
✔ 睡眠中の異常運動(寝入りばなや夜間に、脚がピクピクと動いている) → 就床時の異常感覚についてチェック。 周期性四肢運動障害を調べる。 |
✔ 睡眠・覚醒リズムの問題(適切な時刻に入眠できず、希望する時刻に起床することができない) → 睡眠日誌で睡眠・覚醒リズムをチェック。 概日リズム(※注1)睡眠障害を調べる。 ※注1:概日リズム…体内時計の意味に近い。 |