1)歯周病とは
歯周病とは、歯茎などの歯を支えている組織に炎症が起こる病気の総称です。
かつては『歯槽膿漏(しそうのうろう)』という言葉がよく使われていましたが、これは歯周病の症状が重くなった状態を指します。
大人が歯を失う原因として最も多いのが歯周病であり、30代以上の約80%が歯周病であるとのデータもあります。
2)歯周病の原因
口の中には、数百種類の細菌が住んでいます。
普段はあまり悪いことをしませんが、ブラッシングが充分でなかったり、砂糖を過剰に摂取すると、細菌がネバネバした物質を作り出し、歯の表面にくっつきます。
これを 歯垢(プラーク)と言います。
歯垢は粘着性が強く、うがいをした程度では落ちません。
ブラッシングで取り除かなければ硬くなり、歯石 と言われる物質に変化し、歯の表面に強固に付着します。
歯石になると、ブラッシングだけでは取り除くことができず、歯周病を進行させる原因となります。
3)症状
歯と歯肉の境目にある 歯周ポケット の清掃が行き届かないと、そこに多くの細菌が停滞し、歯茎が炎症を起こして赤くなったり、腫れたりします。
歯周病が進行すると、歯周ポケットが深くなり、歯を支える土台骨が溶け、歯がぐらぐらと動くようになります。
さらに進行すると、歯が抜け落ちてしまいます。
健康な歯茎 | 歯周病 | ||
---|---|---|---|
歯肉炎 | 歯周炎 | ||
色 | ピンク色 | 赤色 | 赤紫色 |
状態 | 弾力性に富み、 引き締まっている |
丸く腫れて、 ブヨブヨしている |
歯茎が退縮して歯が長く見え、 グラグラしている |
出血 | なし | 軽い刺激でも 出血しやすい |
血 や 膿 がでる |
画像 |
◆あてはまる項目が多いほど要注意!
□ 朝起きたとき、口の中がネバネバする。
□ 歯茎が丸く赤く腫れている。
□ 口臭が気になる。息がくさいと言われる。
□ 歯みがきで出血する。
□ かたい物が噛みにくい。
□ 指でさわると歯が動く。
□ 歯が長くなったような気がする。
□ 上あごの前歯が前に出てきた。
□ 歯と歯の間に隙間ができて、食べた物がはさまる。
4)効果的な歯のみがき方
①みがき残しを防ぐために、順番を決めてから歯みがきを始めましょう。
歯の表側、裏側、噛み合わせに分けて、ブラッシングをします。
②歯ブラシの毛先を歯と歯茎の境目、歯と歯の間、噛み合わせ部分にきちんと
当てることが大切です。
③歯と歯茎の境目は、45度の角度で歯ブラシを当て、細かく前後に動かしながら
みがきましょう。
④全体的に、歯ブラシの毛先が広がらない程度の軽い力で、みがくようにしましょう。
5)生活習慣の見直し
①食習慣
栄養バランスの取れた、規則正しい食生活を心がけましょう。
糖分の多い食品は摂り過ぎに注意し、歯周組織の抵抗力をつける
たんぱく質、カルシウム、鉄分、ビタミンAやCなどを意識して食べましょう。
②喫煙
タバコを吸うと血行が悪くなり、歯周病を悪化させる原因になります。
喫煙習慣を見直し、禁煙を心がけましょう。
③ストレス
精神的ストレスは、体の抵抗力低下や生活習慣の変化を招き、
歯周病ケアにも影響を及ぼします。
普段からストレスをためないよう、上手に発散していくことが大切です。
④睡眠不足
睡眠不足も、体の抵抗力低下や生活習慣の変化を招き、歯周病ケアに
影響を及ぼします。
快眠できる自分のリズムや好みの寝具などで環境を整えて、
睡眠を十分にとりましょう。
⑤運動不足
歯周病とメタボリックシンドロームには、深い関わりがあるということが
近年の研究で分かってきました。
適度な運動で体の抵抗力を高め、歯周病予防につなげましょう。