1)バリアフリーとは バリアフリーの『バリア』とは生活の支障となる障壁を意味し、その障壁を取り除いた状態 (『フリー』な状態)を『バリアフリー』と呼びます。 例えば、車椅子を使っている人が階段を上るのは難しいですが、スロープやエレベーター があれば上の階まで行くことができます。 このように設備を整えたり専用の道具を使うことで、目の前のバリアを取り除いていこう、 というのがバリアフリーの考え方です。 『バリア』には物理的な障壁だけでなく、社会的・制度的・心理的な障壁、情報面など すべての障壁が含まれます。 2)バリアフリー新法 平成18年12月20日に『高齢者・障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律』 (『バリアフリー新法』)が施行されました。 バリアフリー新法は、『高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築に 関する法律(ハートビル法、平成6年)』と『高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用 した移動の円滑化の促進に関する法律(交通バリアフリー法、平成12年)』を統合・拡充し た法律です。 バリアフリー新法の目的は、高齢者や障害者(身体障害者・知的障害者・精神障害者・ 発達障害者を含む、全ての障害者)、妊産婦、けが人などの移動や施設利用の利便性、 安全性の向上を促進することです。 公共交通機関、建築物、都市公園、路外駐車場、歩行空間を新しく設置する時に移動等 円滑化基準への適合義務を課すことによって、バリアフリー化を推進するとともに、重点的 かつ一体的なバリアフリー化を推進しようとしています。 また、新たに『ユニバーサルデザイン』の考え方を踏まえた規定が盛り込まれています。 『ユニバーサルデザイン』とは、あらゆる人々が利用しやすい生活環境等をデザインすると いう考え方です。 しかし、真に「あらゆる人のため」のものを初めからデザインすることは、現実的には困難 です。 したがって、『ユニバーサルデザイン』を目指すためには、①様々な者の参画を得て意見 交換をしながら、②粘り強く継続的に、さらには、③広くその必要性への理解を得なが ら、『バリアフリー』の取組みを積み重ねることになります。 このような考え方を踏まえ、バリアフリー新法では、具体的には次のような規定が盛り込ま れています。 (1) 様々な段階での住民・当事者参加 基本構想の作成プロセスや国による継続的な制度の改善(スパイラルアップ)の際 の住民・当事者参加 (2) スパイラルアップ(継続的・段階的な改善) 国による継続的・段階的な制度等の改善、協議会制度を活用した基本構想の実施 段階における連絡調整 (3) 心のバリアフリーの促進 国、地方公共団体、国民の責務の規定 3)ユニバーサルデザイン ユニバーサルデザインとは、『ユニバーサル(すべての、普遍的な)』と『デザイン(計画、 設計)』の2つの言葉を組み合わせたもので、1985年にアメリカの建築家ロナルド・メイス氏 が提唱した考え方です。 メイス氏自身も子供の頃ポリオに罹り、酸素吸入しながら電動車いすで生活していました。 障害のある人を特別視せずに、あらゆる人が快適に暮らすことができるデザインがユニバ ーサルデザインです。 |
<ユニバーサルデザインの7原則> |
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①誰でも公平に利用できる |
②利用する上で柔軟度・利用度が高い |
③使い方が簡単ですぐに利用できる |
④必要な情報が簡単に理解できる |
⑤単純なミスが危険につながらない |
⑥身体的な負担が少ない(弱い力でも使える) |
⑦接近して使える寸法や空間になっている |